現在、民事信託、家族信託と呼ばれる信託の仕組みが注目されています。

信託とは、大まかに説明すると、「委託者」が、信頼できる「受託者」に対して、自分の財産の管理等を任せる制度をいいます。そして「受託者」は、財産の管理等で得た収益を「受益者」に分配することになります。

信託の考え方の起源は、一説には中世ヨーロッパにまで遡るといわれています。
例えば、長期の遠征を余儀なくされた十字軍の兵士は、自分が不在の間に、或いは自分が戦死してしまった場合に、残された家族がきちんと生活していけるかどうかを心配しました。
そこで、自分の土地を信頼できる友人等に管理運用させ、土地から得られた収益を兵士の家族に分配してもらうよう託しました。
ここでは、兵士が「委託者」で、信頼できる友人が「受託者」、兵士の家族が「受益者」ということになります。

信託の利点の一つは、その「自由度」にあります。
信託の仕組みは、個々の事情に応じて極めて自由に設計することができますので、委託者が困っていることや心配していることを、きめ細かく取り込むことで、様々な問題を解決することが可能となるのです。