当事務所に相続登記のご相談にみえられるお客様の中に、故人が自筆で記した遺言書をお持ちになる方がいらっしゃいます。

このように遺言者が、全文・日付・氏名を自書し、押印した遺言書のことを「自筆証書遺言」というのですが、自筆証書遺言は、紙とペンと印鑑さえあれば作成できるという手軽さがある反面、いざ相続が発生した後になって、記載内容や体裁に不備が発覚してしまうことも少なくありません。
つまり、せっかく故人が遺言書を残してくれたのに、その遺言書が全く役に立たなかった、という事態が起きてしまうことも考えられるのです。

また、自筆証書遺言の場合、遺言者の死亡を知った相続人は、家庭裁判所に遺言書を提出し、「検認」という手続をとらなければなりませんので、相続人の方には多少なりとも負担を強いることとなってしまいます。

この点、「公正証書遺言」は、作成費用はかかるものの、①上述した検認の手続が不要、②法律の専門家が関与して作成される、③原本が公証役場に保存される、といったメリットがありますので、自筆証書遺言よりもはるかに安心で確実です。
このような理由から、当事務所でも、原則として自筆証書遺言よりも公正証書遺言の作成をおすすめしています。